2003-03-11(Tue)

恋の病と花粉症は一生治らない。

電車が日暮里駅に着いた時だった。

正面に座っている女の子が
僕を見つめているのに気がついた。

さては僕の顔に鼻糞(鼻毛付)でもついているのかと思ったが
違った。

後ろにある電車の窓の向こうを見てみると、
駅のホームでこちらに手を振っている男がいる。
たぶん、カップルなのだろう。彼を見ていたのだ。

女の子はもう顔からメガ粒子砲が出そうなくらいの
熱視線とまばゆい笑顔で彼を見送る。

たぶん、彼女の最高の笑顔なのだろうと思った。

あれが「恋☆しちゃってるガール」の表情なのだ。
こちらも溶かされ火傷しそうな。

やがて電車が動き出し、彼の姿は見えなくなり
それに合わせて彼女の笑顔はこわばって来て、
軽く震えた拍子に幾粒かの涙がこぼれた。

これも「恋☆しちゃってるガール」の笑顔の裏側。
こちらももらい泣きしてしまいそうな。

いいねえ…恋愛だよ…。
オジサン、酒呑みたくなってきたよ…。
チーカマとイカくんはないんかコラ。
あとエイヒレ。

僕をそんな風に見つめてくれる相手は。
嫁…かね。

嫁は最高の笑顔を返してくれるだろうか。
僕は隣に座っている嫁を覗き込んでみた。

嫁の顔は…

花粉症のため顔の下半分をマスクで覆い、
残り半分はコンタクトをはめられずに
止むを得ず掛けた野暮ったいメガネで

その奥の瞳はウツロで宙を彷徨い、

花も恥らうようなとびきりの笑顔どころか
監視カメラに映った銀行強盗。

「あー…またひどくなってきた…」

嫁の鼻がぐじゅぐじゅ音を立て出した。

「洟☆出ちゃってるワイフ」…。
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