2017-03-11(Sat)

ライブレポート「水曜日のカンパネラ 日本武道館公演~八角宇宙~」2017.03.08

水曜日のカンパネラ
水曜日のカンパネラの日本武道館ライブに圧倒された。

僕が初めて水カンのライブを観たのは新宿のLOFTであった。コムアイさんはアオザイ姿で歌っていて、時折ちゃぶ台をひっくり返したりお客に向かってブルボンのお菓子を投げたりするパフォーマンスでフロアを沸かせていた。MCでは

「こんど鹿の解体イベントをやります!チケット手売りしてます!」

とのことだったのでライブ終了後、ラウンジでグッズを売っていたDir.Fさんにチケットを買いたいと声をかけたところ

「おーい、コムアイ」

わざわざコムアイさんを呼んでくれて、そこで初めて喋ったりサインしてもらったり写真撮らせてもらったりした。

それから3年半後に日本武道館とは…。

「『あのバンド絶対売れると思ってた』とか言ってんじゃねぇぞ!おめぇだけじゃなくみんなそう思ってたから売れたんだろ!」

「『なんか遠くに行っちゃった感じ』って、もとからお前のそばにいねぇんだ!」


とはお笑いコンビ「いつもここから」のネタだけれども、まさに二重カギカッコ『』内の思いが溢れて来たライブであった。必死にネタの通りにセルフツッコミを入れ、自制心を保ちながら…。

さて、水曜日のカンパネラの日本武道館ライブ。その名も「八角宇宙」。武道館は八角形。八角形の空間の中に水カンはどのような宇宙を作り給うたのか。

入場すると、ど真ん中に八角形のセンターステージが設けられていた。ステージを取り巻くように通路や撮影カメラ用のレールが設置され、その外側にアリーナエリアが区画されていた。僕はそのうちの前から2列目あたりで観た。その上が1階席、2階席。空席がないわけではなかったが、観客がみっしりと詰まっていた。

定刻を10分ほど過ぎると照明が落ち、ライブは「猪八戒」から始まった。南側の入口から金斗雲のような、雲がたなびくお神輿に乗ったコムアイさんが登場。

前回のツアーでは「黒ひげ危機一髪」のナイフを入れる横穴から足が20本ぐらい生えたような不気味な樽型お神輿に乗り、最後は樽の中にお尻からずっぽり落ちてまさに危機一髪になっていたがどうやら新車になったようである。

神輿はゆっくりとアリーナを回り、

「adidasじゃなくてKappaです」

と客に言わせた後何かツボッたのかケラケラ笑いながら歌い、ステージに到着した。ステージに上がるとすさかず「シャクシャイン」で

「カモン武道館!」

と熱気を上げる。(カモン御成門じゃないのかw)

「日本武道館へようこそ!」

「こんな人が来るんですねー。カンパネラって」

「どこ向いてもお客さんがいるところでライブやったことないんですよ!いろんな方向から見てもらうのが好きなんで、武道館はピッタリだと思います!なのでど真ん中にステージを作ってもらいました!」

と語るコムアイさん。武道館が出来たのは1964年。東京オリンピックの年だが、

「再びオリンピックを控えた東京でどういう美しさや楽しさを提示できるのか、ここで私が舞台でできる景色をいっぱい用意したので楽しんで下さい!」

とまじめに挨拶した後、ガラッとノリが変わって

「温泉の歌いきましょう!いっ湯ーだね?」

「いい湯だね!」

恒例「ディアブロ」のコールアンドレスポンスの練習。ライブの時はいつもこのやりとりで客のテンションを見定めているっぽいコムアイさん曰く、「天国に一番近い人達」である2階席の人たちに声を出させたところ声が小さかったようで

「さすが天国に近いだけあって『死にかけ』って感じです」

と。

「次、地獄のみなさん」

地獄すなわち僕らアリーナの地べたに呼びかけるとさすがに声はでかく、

「うおーー!響く!」

ちなみに1階席の客にやらせてみたら

「声は元気だけど、『サラリーマン』な感じがする。仕事帰りに来て間に合ったんだなー、ていう」

だとか。それ僕のことか。

「1万人も入ってこんな近い距離で見れるのって他にない。スクリーンもアリかと思ったんですけど、全部なくして、どこからでも私達を肉眼で見てもらえるようにしました。武道館は武道をやる人を肉眼で見れるように作ったハコだから!」

ということで無駄なモノは何もない。ステージ上にあるのは昔ながらの音出しマシン、Macbookだけ。これを「ポチットな」して曲が始まるのは今でも健在のようだ。

「シャクシャイン」の次は「雪男イエティ」に繋ぎ、さらに最新アルバム「SUPERMAN」の中で一番早くMVが公開された「アラジン」に。この時、顔まで覆うような真っ黒で光がヌメヌメ反射するタイトな衣装を身に纏い、すばしこい爬虫類系のような動きで踊りまくるダンサーが現れた。

おそらく「一休さん」のMVですさまじい存在感があった川村美紀子さんなのだろうと思って見ていた。曲に合わせてこういう風に踊れたらメチャクチャ気持ちいいんだろうな…という激しい踊りをしつつコムアイさんとも絡んでいた。あ、でもそういえばチクビームやってくれなかった。

「次はみんなが知ってる曲ですよー」

と早々とアンセム「桃太郎」。これまでのライブではほぼ必ずウォーターボールの中に入って客の上を転がりながら歌っていたので、普通(?)に歌う姿を見るのは久しぶり。改まってコムアイさん、

水曜日のカンパネラ
「みなさんスマホとか持って来て入ってます?実は撮影OKなんですよ」

「ええー!」

ということでビックリ。動画も撮ってもいいという。武道館の中に入った時から

「撮影はご遠慮くださーい」

というスタッフさん達の声がばんばん飛びまくっていたので、開演前の様子も撮ってはいけないとはさすが武道館は厳しい、と思っていたのに。

早速みんなバチバチ撮りだしたところで

「スマホ出したついでに1曲ぶんぐらい手伝って欲しいことがあるんですけど。スマホのライトを付けてください」

とお願いするのでみんなコムアイさんに向けてライトを照らすと、無数の白い光が一斉に輝きだした!更にミラーボールも持って来させてますます光が反射しまくり。まさに八角宇宙の銀河の誕生やー!ちなみにミラーボールを持って来させた時に

「ミラーボール持って来て…ミラ・ジョヴォヴィッチ」

さりげなくダジャレをかましていたのを僕は聞き逃さなかった。コムアイさんもオヤジギャグみたいなしょーもないギャグ言うんだな。

スマホライト銀河とミラーボールの反射の光のなかで「アメノウズメ」を歌う。コムアイさん。まさにディスコ高天原。

水曜日のカンパネラ
「ライト兄弟」に繋いだ後、どるるるるるーん。急激にBPMが速くなり「ツイッギー」「ウランちゃん」「バク」の3連コンボ。高速で幻想的で発狂系の極地。ひたすら踊りまくれるこの繋ぎが大好きである。

特に「ウランちゃん」では縦横無尽にレーザービームが飛び交い、ライトもバツバツ点滅!オッサンの僕でもピカチュウショックでぶっ倒れるんじゃないのってぐらいの光の自己主張。カオス最高潮。

「バク」になると上から白くて薄い布がバサッと降りて来てステージを筒状に包んでしまう。そこに光の粒やオーロラのような映像やらが映し出され、これもプロジェクションマッピングというのだろうか。

布の内側のステージにいるコムアイさんの姿は、たまに薄い布から透けて見えたり、布の隙間をチラリとめくってこちらを覗いて来たり、また、コムアイさんの大きな影が布に映し出されたり。もうステージが半分ぐらい異次元に溶けてしまっているかのような幻想的な世界。曲が終わり、光がと音が去り、静けさと闇が覆って来、コムアイさんの姿も見えないまま物寂しげになったところで

「はやくでてきてー」

どこからかちびっ子の声が聞こえてきて和やかな笑いが起こった。仕込みかってぐらいの絶妙なタイミング。

「ユタ」では陰陽白黒の大極図を表現したのだろうか、白一色の衣装と黒一色の衣装のダンサーが多数現れ、コムアイさんの巫女パワーと集団の人間パワーを見せ付けられる思いがした。

多数のダンサーにより更に激しい演出になるのか思ったらその逆で、次は座って「ネロ」を歌う。アカペラだ。Dir.Fの歌詞なんだよね…と聴いていていると続いてはなんと「ユニコ」。なんと泣かせる曲順だろう。「ユニコ」も夕暮れ近くの京都・萬福寺境内での野外ライブで、セミの声と共にしみじみと聴いていた曲。いろんな思い出が駆け巡る。こんなに聴きほれてしまうなんて、コムアイさん、歌、うまくなったなあ。

水曜日のカンパネラ
その次は「カメハメハ大王」。チクビームもそうだったけど、『脇の下サラサラ』の振付もやって欲しかった。

「マッチ売りの少女」。先端がオレンジ色に光り、まるで松明のようなポイを持った人達が現われ、本物の炎ではないのに暖かさが感じられるような光に包まれた。そんな人たちの中にギンギラギンにさりげなく紛れ込み、普通に真顔でポイを持って歩くケンモチさんを発見。

個人的にクライマックスだったのが「ミツコ」からの「坂本龍馬」。「ミツコ」は僕が常に一番と言っていいほど好きな曲。まさか武道館でも「みんなでソーセージ!」するとは思わなかった!

「三千円ポッキリでええす!でえええす、でええす…」

コムアイさんの叫び声にディレイがかかる。

「お城の周りをぐるぐるまわってこい!」

そう、ここは武道館。この場所は旧江戸城北の丸にして現皇居(宮城:きゅうじょう)であるわけだ。皇居ランナーにならないといけない。

そして「坂本龍馬」はアルバム「SUPERMAN」の中で一番好きな曲。

「大政奉カモンダンス!」



「ダァンス!」

のところでひゅいいんと上がっていく感じがよい。

再びポイアーティストの方々が登場。以前「Eテレ」の「Rの法則」でポイアーティストの方々と演出を考えて披露した「坂本龍馬」のパフォーマンスがとても美しく、ライブでもぜひポイの演出で観たいものだと願っていた。ポイだけではなく、傘を広げてクルクル回すパフォーマンスも素晴らしかった。あっさり願いが叶って本当に来てよかった。

「世阿弥」ではついにコムアイさんがワイヤーアクション。ひゅーっと浮かんでしまった!



コムアイさんも願いのひとつが叶ったようで。曲が終わっても

水曜日のカンパネラ
「高いところから失礼しますけど」

と空中浮遊したままMC。ハーネスが股に食い込むので

「もし男の人だったら使い物にならなくなるかもしれませんね」

水曜日のカンパネラ
とのこと。使い物にならなくなる以前にあんな高いところ、玉ヒュンである。しかしコムアイさんは怖くないのだろうか、鉄棒ばりにぐるぐる前後転するわポーズ決めまくるわで大暴れだった。そして1階席にいたカレーメシくんを呼び出した。カレーメシくん、ライブではコムアイさんと一緒に踊ったり物販の説明をやらされたりで最早おなじみ。大事なスポンサー様の愛嬌あるキャラクター。

カレーメシくんが来たとなれば当然次の曲は「ラー」。コムアイさんは宙吊りのままなので、Macbookをポチっとな出来ない。なので水カンのライブやイベントではなくてはならないお方、ATFIELDの青木さんにやらせたものの、2度も違う曲がかかってしまい失敗。コムアイさんがダメ出ししたが観客は

「あおきー!」

と優しい声。

「甘やかしてどーすんの!オッサンだよ?」

そんなショートコントがあってようやく「ラー」。特にこの曲の時はガッツリ撮影して、SNSに「#カレーメシくん」と付けて拡散すると、もしかしたら水カンのライブももっと豪華になるかもよ?という大人の事情も交えつつ、

水曜日のカンパネラ
カレーメシくんとじゃれつつ歌うコムアイさん。曲が終わると

「ばいばーい」

わりとあっさりカレーメシくんを帰し、

水曜日のカンパネラ
「最後の曲だよー!」

と「一休さん」。MVのようにダンサーさん達がたくさんステージに上がり、踊る。ライブを祝うパーティーのように大勢の人達が弾けまくる。

水曜日のカンパネラ

水曜日のカンパネラ
ケンモチさんもふたたび。

コムアイさんは観客に向かってお礼を述べた後、去って行った。

しゃんしゃんしゃんしゃん…手拍子が自然と沸き起こると、程なくして戻って来たコムアイさん。

最後に一緒にやってもらいたい、という曲は

水曜日のカンパネラ
「血ぃすぅたろかー、お前の、血ぃすうたろかー」

の「ドラキュラ」である。実はライブ会場に献血車をスタンバイさせて、その場で観客に献血をお願いするというアイディアもあったんだそうだ。しかし午後4時までに血を献血センターに届けなければならないという縛りがあったため断念したんだとか。

「みんなで歌いましょう!あとスタッフには言ってないんだけど、最後にケンモチさんとDir.Fにステージに上がって来てもらいたい…」

コムアイさんが普段は裏方に徹しているふたりを呼んだ!ケンモチさんは時々隠れキャラっぽくいることもあるが、Fさんは本当に裏方。演者としてステージに上がることなどない。

水曜日のカンパネラ

水曜日のカンパネラ
しかしこの時は満面の笑顔で登場して

「この3人で水曜日のカンパネラです!」

とコムアイさんが叫んだ時には涙が出た。3人でここまで来たんだよ、っていうことを見せたかったんだと思う。確かにステージで演じるのはコムアイさんだけで、ケンモチさんは楽曲、Fさんはマネジメントの役割があるけれども、それぞれ「サウンドプロデューサー」や「マネージャー」ではなくてふたりとも「メンバー」なんである。そこがイイ。

水曜日のカンパネラ
コムアイさんはFさんに歌う?、とマイクを渡すと

「血ぃすぅたろかー」

Fさんの歌声は何というかとてもアレだった。だがそれがいい。裏方に徹する男が武道館で初めて聞かせた歌声である。

水曜日のカンパネラ
ケンモチさんもFさんからマイクを受け取り

「セイ!血ぃすぅたろかー!」

低音を効かせたイケボイスで叫ぶ。

水曜日のカンパネラ

水曜日のカンパネラ
「ドラキュラ」はもう1回。

ライブ冒頭の金斗雲がまた出て来て、今度はケンモチさんが乗ろうとする。

水曜日のカンパネラ
「気を付けて!また骨折すんのやだよ!」

水曜日のカンパネラ

水曜日のカンパネラ
お母さんのようなコムアイさんに見守られつつケンモチさんが乗ると、金斗雲お神輿がアリーナをゆっくり回る。コムアイさんも後ろから追い、たまに客に歌わせながら、やがて本当にライブは終わってしまった。

お神輿やら宙吊りなど、いつもの出オチ的な演出は残しつつも、客の中に割って入って行ったりクラウドサーフして客を沸かせることはしなかった。

豪華セットみたいな大道具もなく、音と映像と光、そして人体の表現力だけで魅せてやろう、という意思が伝わってくるようなライブであった。

それは本当に素晴らしいもので…。

最初に書いたコントのネタじゃないけど、遠くに行ってしまったなあ…雲の上の人になってしまったなあ…金斗雲だけに。なんちて。

【セットリスト】
01.猪八戒
02.シャクシャイン
03.ディアブロ
04.雪男イエティ
05.アラジン
06.桃太郎
07.アメノウズメ
08.ライト兄弟
09.ツイッギー
10.ウランちゃん
11.バク
12.ユタ
13.ネロ
14.ユニコ
15.カメハメハ大王
16.ツチノコ
17.マッチ売りの少女
18.ナポレオン
19.ミツコ
20.坂本龍馬
21.世阿弥
22.ラー
23.一休さん

アンコール

24.ドラキュラ
25.ドラキュラ

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