2015-12-17(Thu)

クリトリック・リス ワンマン「あかん もうやめます」渋谷WWW 2015.12.15

クリトリック・リス
「日常にどんだけ不満を持っているんだい!俺にぶつけないとあかんほど日常はつまんないのかい!

…全部受け止めてあげるよ!」

スギム氏ソロのユニット、クリトリック・リスのライブは懐の深いものだった。

そういえば昨年の年末もクリトリック・リスのワンマンライブを観たのだけれども、その時は熊谷のモルタルレコードという文字通り木造モルタルの2階、ライブハウスというよりは普通の「民家の部屋」みたいなところで50人ぐらいのこぢんまりとしたライブであった。そして今年は渋谷のWWW。1年でキャパが1ケタ違くなっていた。

クリトリック・リス
クリトリック・リスという名前と、ハゲ頭のパンイチ姿というイデタチから下ネタ全開の危険極まりないアーティストかと誤解されがちであるがとんでもない。

「いろんなレコード店で『日本で最も危ない男が全国リリース』って紹介されてるけど全然危なくないからね!ハードル上がりまくりなんや!」

とスギム氏本人も言う。

下ネタもあるけれどもむしろそれは少なく、どちらかというとダメ人間だけど憎めない人生の物語を歌詞にした曲が多い。それを歌う、というよりも叫ぶ。ラップとも違う。

幼なじみを初めて恋の相手と意識した男の歌、

売れないバンドマンの歌、

売れない、金ない、だらしないバンドマンに貢ぐ女の歌、

ハードロックにかぶれた男たちが集い、昔は良かったとかニルバーナが憎いとか布袋何やってんだよ禁煙してんじゃねえよとか愚痴りまくるバーの歌、

食堂で焼き飯とライス大を頼んでしまった男の歌、

80才になっても串焼き屋を続けているおばあちゃんが、偽1万円札を見抜けなくて受け取ってしまい、そろそろ潮時かと落ち込んでいるのを励ますネコの歌、

東京で30分のライブのため、片道8時間かけて「青春エコドリーム号」という日雇いオヤジみたいなのばっかり乗ってて青春じゃないしエコでもないし夢もない高速バスに乗ってやって来るスギム自身を描いた歌…などなど、

クリトリック・リスという名前の通り、少年が初めてクリトリスという淫靡かつロマンチックな言葉を知った時のときめきと感性のみずみずしさを保ちつつ、味わってきた人生の喜びと哀しみと怒りとおバカさをしっかり掬い上げた抒情詩なのである。

曲の間にスギム氏が話そうとするとそこらじゅうの客から

「ハゲ―!」

「おらハゲ―!」

という歓声が飛んでくる。勿論DISりなどではなく、親しみを込めての「ハゲ」なのだが、あんまりハゲハゲ声が飛び交うものだからスギム氏が返したのが冒頭のセリフである。

中には度を越してしつこくダミ声で罵声を浴びせ続ける泥酔女とかもいて、途中から声が聞こえなくなったので改心して行儀が良くなったのかと思ったらさにあらず、吐いて退場したらしい。ひどい客だ。そんな客にもスギム氏は

「うるせー!抱くぞ!公開セックスでもかまわへんで!」

決してマジ切れすることなくうまくあしらい、また、ある時はステージを降りて客でぎゅうぎゅうのフロアにも突っ込んで行ったりもした。

「君は俺のファンだからセクハラされても怒らないよね」

「水曜日のカンパネラは同じことやってももっと受けるんだけどな」

「俺に触れると禿げるぜ!」

などと叫びながら練り歩いていて面白かった。

さて、クリトリック・リスの曲、というよりも持ちネタと言った方が近いのだろうか、ライブで繰り広げられる「酒相撲」というものがある。

「おーれとー、おまーえとー、どっちが強ーいかー、酒相撲しようぜー」

と歌いながらスギム氏が酒を飲むんである。客に酒が振る舞われることもある。今日は客の方から

「飲め―!」

と催促され、件の酒相撲の歌も客側から自然発生していた。スギム氏は舞台袖や客席から差し出された酒を飲んでいたが、もっと飲めと言う煽りには

「酒相撲ってのはただ量やスピードを競うんじゃなくて、気持ちよく楽しみながら飲むんだ。さっきのうるさい女のように、ただ自分の欲望のままに酒を飲んどる奴は酒相撲の敗者や!横綱の飲み方を見ろー!」

と大見得を切った。そして

「こんなもん観に来たんじゃないだろ!」

と自分のペースを取戻し曲に移る。この呼吸はさすがだ。

売れないバンドマンと、バンドマンに貢ぐ女を歌う、クリトリック・リスの名曲「バンドマンの女」がラストの曲だった。何故か涙が出て来てしまった。

「ありがとう!」

スギム氏がステージから姿を消すと、アンコールならぬ「ハゲ」コールが湧き上った…と思ったらすぐさま戻って来て

「はええよ!」

思わず声を上げる観客。スギム氏はこれもまた名曲「桐島、バンドやめるってよ」を含み、アンコール、ダブルアンコール、と呼んでいいのか分からないけど、引っ込んでは戻って来て、繰り返して観客の呼びかけに応えた。

最後はクラウドサーフでスギム氏が観客の間をするするとフロアを移動して行き、フロア各所で観ていたお世話になった方たちにお礼を述べていた。ステージに戻って来てからはなんかの洋楽の歌をみんなで手を振りながら合唱してフィナーレを迎えたが、僕は何の曲かさっぱり分からず、この場面だけは興醒めであった。最低限クリトリック・リスの曲で締め括って欲しかった。

それはそれとして、音楽経験のない会社員スギム氏が36才でクリトリック・リスとして活動を開始し、10年で渋谷wwwを満員にし、熱狂させるまでになった。10年の間、どんな苦労をされてきたのか?単なる観客の自分には知る術はないが、遅咲きのオッサンでそこまで登り続ける者がどんだけいようか。スギム氏はオッサンの星に違いない。

「柳瀬次長は、人間のクズ!」

の柳瀬次長や、

「奥さんの名前クニエ、娘さんの名前マリ、でもパソコンのパスワードはヒロコラブ!」

の部長はスギム氏の会社員時代の実在の上司だったという。部長、柳瀬次長、スギム氏は課長、そしてスギム氏が教育担当となった新人君がいた時が最強と呼ばれていたらしい。そんなサラリーマン生活をしながらここまで来たことを聞くとますます感慨深くなった。

山形でのライブで暴れて骨折してしまったという右手小指が包帯ぐるぐる巻きで痛々しかったが、そんなことは吹き飛んで全く気にならないほど感動的なライブであった。

でも、ケガないのにケガしてるとはこれいかに。なんちて。

【セットリスト】

(ツイッターからのパクリ)

01.柳瀬次長
02.I LOVE Rock 'N' Roll
03.秘密のパスワード
04.レイン
05.バーブラックナイト
06.BUS-BUS
07.陽の当たらない部屋
08.その時、俺は
09.マリちゃんと熊のアーノルド
10.ライス&ライス
11.ロングヘアーファットメン
12.思い出のカラオケボックス
13.あべちゃん
14.串焼き屋かっちゃん
15.人間の目
16.バンドマンの女

17.桐島、バンドやめるってよ

18.万引き

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