2014-12-23(Tue)

クリトリック・リス「ワンマンパーティー」熊谷・モルタルレコード 2014.12.19

クリトリック・リスのワンマンライブを観に埼玉県熊谷市へ。

早く着き過ぎたので時間を潰せるところがないかと検索したら、なんでも熊谷は裏風俗の一大スポットであることが判明。表向きは禁止でもコッソリちょめちょめできてしまう店がたくさんあるらしい。

早速怪しそうな通りを巡回してみたら、どうも街並みが寂れ過ぎていて話が違う。古ぼけた廃墟が多過ぎた。もう少しよく調べてみたら実はその情報は古くて、既に警察の手入れによりそういった店は壊滅してしまったのだという。残念である(ちょめちょめしたかったんかい)。

モルタルレコード

モルタルレコード
諦めてマクドナルドでスマホ充電しながら時間を潰し、開演時間近くになったので会場であるモルタルレコードに向かい、受付。「CDプレゼント交換会」用に持って来たCDを預けて2F に上がった。

ちなみに用意したのは水曜日のカンパネラ「私を鬼が島に連れてって」未開封の新品。決して不要のCDというわけでなく布教のためのセレクトである。

モルタルレコード
2Fはライブハウスというよりは名前の通り木造モルタル住宅の「部屋」みたいであった。50人ぐらい入ったのだろうか。みんなここで座って待っていた。立って一斉にジャンプでもしたら床が抜けそうだ。

クリトリック・リス

クリトリック・リス
高崎線で人身事故があったため遅れて開演。クリトリック・リス(バンド名)のスギム氏(個人名)がニコニコしながらステージに登場し、コップを何十個も並べて紙パックの日本酒を注ぎ、飲みたい人に振る舞い、乾杯して

「おーれとー、おまーえとー、どっちが強いかー。酒相撲しようぜー」

酒相撲のテーマからライブが始まった。何故かアナ雪の曲も歌って

「寒くなんかないわ」

と服を脱ぎパンイチ姿に。

「探り探りいくで」

客の反応を探りつつ進行を考えるというスギム氏。

「下ネタのナポレオン」というキャッチフレーズと、「クリトリック・リス」と言う名前から、下ネタオンリーというイメージを受けてしまうがそれは間違いである。確かに下ネタ満載だけれども決してそれだけではない。

抜け毛がひどくなりハゲてしまって子供のころから通っていた床屋と決別する話、幼少の頃、幼なじみへのほのかな恋心の話、子供の頃の友達とその飲んだくれの父ちゃんの話、などをポンチャックディスコのようなチープなトラックに乗せて歌うというより語り、叫ぶ。

曲と曲の間には観客から拍手と「ハゲ!」「ハゲ!」とあちこちから歓声が上がり、

「ハゲで売ってる人にだって普通は面と向かってハゲとは言えませんよ。志村け○とか竹中直○とか。それなのに音楽ってなんて自由なんでしょう!」

と苦笑いするスギム氏。

「恥ずかしいからちょっと暗くして!」

店主さんに照明を暗くするように言う場面も。裏風俗の風俗嬢か!とツッコミたくなった(だから壊滅したっての)。

しかし曲中だと僕ら観客はほぼノーリアクションだったらしい。つまらないわけではない。曲を聴いていると歌詞の情景が頭の中に浮かんできて、そのストーリーを追ってしまうのだ。マンガを熟読するようにじっくり聴き入ってしまう。スギム氏はこのままではいかんと思ったのか

「みんな耳を傾け過ぎ!一回立とう!」

観客を立たせて空気を変えようとする。有名曲「桐島、バンドやめるってよ」でオイ!オイ!オイ!と声と拳を上げて盛り上げる。この曲も売れないバンドマンの苦悩がテーマの切ない歌なのだ。スギム氏はステージから離れて窓から外に出て屋根の上で歌ったり、「くまのアーノルド」では珍しく振り付けがあってテヘペロみたいなキモかわいい表情を見せたり、徐々にフロアの反応も賑やかになってきた。

クリトリック・リス
今回のワンマンライブ(熊谷・高円寺・大阪)では、オリジナルのTシャツプレゼントの特典もあった。

「ライブに行けないけどTシャツは欲しいので、何も知らない妹を行かせます」

というメールをした方がいたとのことで、

「妹さん、何も知らないのに来てみたらこんな裸のオヤジがオイオイやってて…」

気の毒に、と同情しながらも

「チーズ、キムチ、チンポ、女の子たちは、チーズ、キムチ、チンポ、みんな大好き」

女の子は臭いものが大好き、という加地等のカバーソングを歌い出して容赦ない。この曲が終わってから一旦休憩。トイレに行ったりクリトリック・リスクッキーを買ったりしていたらとっとと休憩が終わってしまい、ひとり二役の寸劇(?)が始まっていた。

クリトリック・リス
クリスマスプレゼントにカウンタックのプラモデルを欲しがる息子のために父親は買ってやるのだけれども、プレゼントする前に全部組み立ててしまった…という話。実話らしい。

からの「お父ちゃんとの日々」。クリトリック・リスで一番泣ける曲である。

「お父ちゃん、お父ちゃん、起きてーや。今日は日曜日やし、キャッチボールしよ」

と繰り返す叫ぶこの歌は、年老いたお父ちゃんの思い出を語る歌。

タイで梅毒もらってきたり、連れてってくれるところは競馬場だったりフィリピンパブのバーベキュー大会だったりサラ金の返済巡りとかひどいとこばかりのお父ちゃん。大人になり、お父ちゃんの遺伝で自分もハゲになってしまったのでヅラを作ったら「ハゲを恥じるな!」と怒ったお父ちゃん。その言葉を信じてヅラを封印して頑張ったら彼女ができ、お父ちゃんに紹介するために彼女を家に連れて来たら、ちゃっかりそのヅラをして待ち構えていたお父ちゃん。

そんなお父ちゃんも今ではすっかり老いてしまってペットボトルのふたすら開けられない。一緒にキャッチボールをしてもらえなかったのが心残りで繰り返し叫んでも、もうお父ちゃんは返事をしてくれないのだろう…そんな情景が思い浮かんでしまって泣けてしまう。

クリトリック・リス
その後の僕の印象に残った曲を書き出してみると…

ストリートミュージシャンの女の子のファンになった男が、女の子が売れてゆくに連れ危ないストーカー化していく「あなたがいるから」。

クリスマスに指輪をプレゼントしてホテルまで予約したのにとっとと帰られてしまい、

「そもそもなんでクリスマスにSEXするんや!クリスマスってキリストの誕生を祝う日ちゃうんか!キリストの誕生とSEX、何が関係あんねん!お母さんの誕生日にお母さんの誕生祝ってSEXするんか!」

とブチ切れる「クリしみ クルしみ クリしみます」。

彼女がゾンビになってしまったけど愛し続ける男の歌「ゾンビ」。

サラリーマンが焼きそばとライスを頼もうとして、間違えて焼き飯とライスを注文してしまって店のおばちゃんにブチ切れる「ライス&ライス」。どっちにしたって主食と主食の組み合わせでおかしいだろと突っ込みたくてウズウズする。

彼氏は金にも女にもだらしない売れないバンドマンなのに、どうしても別れられずズルズルと貢ぎ、人生を捧げてしまう「バンドマンの女」。

中途半端に不良ぶっていた中学生時代。初詣の時に友達とたこ焼屋に入ったらおばちゃんと相席になった。おばちゃんはやたらと話しかけてくるのだけれども不良ぶって「黙っとけババア」「しばくぞ」と罵声を浴びせ続けまるで相手にしない。しかしおばちゃんはひるまず自分のカツカツの生活についてひとりで喋りまくり、「若い子と話せて嬉しかった。元気でいや」と去ってゆく。実はコッソリ中学生たちの代金まで払っていたのでした、という「おばけのおばちゃん」。

などなど、以上、爆笑する歌からしんみり泣けてしまう曲まで感動の振り幅がとても大きいレパートリー。情と欲に流されるだらしなくて哀しくて愛らしい人間のドラマが満載だった。

MC中面白かった話は以下の通り。

楽器は全然弾けないけれどもトラックは自分で作っている。コードCでBPM120の曲ばっかり。

股間についてるテルミンのみが唯一ミュージシャンらしく自分でいじれる楽器なんだけど、あるライブの時に七尾旅人とデュエットして、テルミンで共演してくれと頼まれた。テルミンは音階ないし断ろうとしたんだけど断れなくて、実際テルミンキュンキュン鳴らしたら七尾旅人が怒ってた。

東京~大阪間の長距離移動は「青春エコドリーム」というバスを使っている。青春といってもドカタのオヤジみたいなのがいっぱい乗ってて全然青春じゃないし狭くて眠れないから夢もない。ライブ遠征組みたいなのも多く乗っていて、眠れないからエゴサーチしてたら隣に座ってたやつが「隣にクリトリック・リスが乗ってる」とツイートしていた。

…等々。

クリトリック・リス
ライブ後は階段を降りたところでスギム氏が、受付時に集めた交換用CDが入った袋を持って待ち構えていた。CDをいただきつつ写真を1枚撮らせてもらおうとしてスマホ片手に挨拶したら

「お、スマホを持っているということは一緒に写真を撮りたいということですかあ?」

スギム氏、凄い嬉しそうにしてくれたのだけれども、僕は自分の容姿が嫌いなので

「いえ、自分はいいんで、すいません…」

スギム氏だけの写真を撮らせてもらったらちょっとガッカリしていた。すいません。せっかく好きなアーティストの写真が撮れるのに自分も入っちゃうとか邪魔でしょうがない、見直す時に自分の姿を見たくない、という感覚なのです。

クリトリック・リス
僕が引き当てたCDは何故か童謡の曲と、なんとクリトリック・リスの音源!大変レアなものをいただいた。これはとても嬉しい。

いつかクリトリック・リスのライブをガッツリ観てみたいと思っていたのでこの日のライブは大変満足した。それでもまだ演って欲しかったけど観れなかった曲もあるので、また観に行ってしまいそうである。

【セットリスト】(音源がないため曲名は適当)

01.酒相撲
02.冒険暴走坊主
03.米原
04.レイン
05.陽の当たらぬ部屋
06.菊地のお父さん
07.桐島、バンドやめるってよ
08.腐った夕焼け
09.くまのアーノルド
10.チーズ、キムチ、チンポ
11.お父ちゃんとの日々
12.あなたがいるから
13.クリしみ クルしみ クリしみます
14.のんちゃん
15.ポルシェに乗った陽に焼けた豚
16.ゾンビ
17.バー ブラックナイト
18.ライス&ライス
19.バンドマンの女
20.おばけのおばちゃん
21.最低な男

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