2006-12-15(Fri)

0円ライター



幼い子を持つ親としてあるまじき行為と言われるかもしれないがスモーカーである。

また、妻を持つ身としてアルマジロ行為と言われるかもしれないがストーカーである。とうに連絡がつかなくなったお気に入りの美少女・Rちゃんとの思い出をいつまでも引き摺り、mixiで奇跡的にそっくりな女の子を見つけ(しかも誕生日も一緒)

「お友達になってください!!」

とメッセージを送ったりした。1年ぐらい経ったがまだ返事が来ない。んもう照れ屋さんなんだから。

ストーカーについてはさておき、スモーカーはタバコを吸うのでタバコを買う。僕はいちいち1箱ずつ買うのが面倒なので、2年ぐらい前からカートンで買っている。カートン買いすると必ずお店の人がオマケでライターをくれるのがこの国の風習なのだが、これが痛し痒しなのである。

最初の頃は嬉しかろう。しかし毎回カートン買いしていればライターが山のように溜まるのは火を見るより明らかである。ライターなだけに。ドラマの中で

「今度僕結婚するんです」

というセリフを喋った男は必ず無残な死に方をして葬られるのと同様、誰にでも分かることである。もう僕の部屋にはライターが山のようになり、産業廃棄物の不法投棄場みたいになってしまっている。

そりゃカワイイ女の子店員がライターをくれれば、例え家がライターで溢れることになっても

「君がライターをくれるたびに、僕のハートにも火が灯るのさ。僕のフェバリットのシガレットは、セブンスターメンソールさ。覚えておいてね。ふふふ」

と言って喜んで貰う。

「ブルーレットでも吸ってろ」

とか言われそうだけれども。吸うべきか、吸わざるべきか。それが問題だ。シガレットのハムレット。なんちて。

しかしながら現実はそんなかわいい子はおらず、いつもウドンが伸びて溢れそうなドンブリみたいな顔のおじさんが当たるので、そういう気にはならない。僕のような悩みを持った喫煙者は沢山いるだろうけれども…皆どうやって解決しているのだろうかと悩む毎日であった。ライターを早く処理したいがために放火魔になった人もいるかもしれない。

「ライターはいりませんので」

と店員に初めから断っても

「ふ、ふんだ。最初からあげる気なんかなかったよーだ」

ヘソを曲げられそうで怖い。かといってライターを袋に入れてから言っても

「最初から言えよ…」

戻す手間がめんどくてウザがられそうでこれも怖い。他のコンビニでは

「ライターお付けしますか?」

と予め言ってくれるところもある。その時にいらないと返事をすれば良いのでこの場合は悩むことがない。しかしこの店は遠いのだ。ついつい会社帰りに駅前のいつもの伸びウドンコンビニで買ってしまう。そしてライターがまたひとつ増える。

ああどうしたら…ヤッターマン、コーヒー、ライター…とブツブツ呟き家に帰るのを繰り返して早幾年。最近ようやくライタースパイラルから逃れるアビリティを身に付けた!

そんな大袈裟なことではないのだが、もう何度となく伸びウドンの接客動作のパターンを掴み、彼が今まさにライターに手をかけようとした時に

「あ、ライターはいいですよ」

と一声かけるのだ。ザリガニに取り網をそーっと近付けて「今だ!」と掬い上げる感じに似ている。それが一番いいと思った。それにいい加減伸びウドンとも顔なじみになってきたので、わりとフレンドリーに接することが出来るようになったのも大きい。

些細なことではあるが、僕は呪縛から解放された。ようやく強制オマケライターから自由になったのだ。

すなわちフリーライターである。フリーターではない。


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