2005-08-02(Tue)

あなたがわたしにくれたもの。

嫁の実家で迎えた日曜の朝。

嫁は実家改築後の未整理の荷物を部屋に篭もって
整理していた。娘・R(もうすぐ2才)も物珍しそうに
その荷物たちを覗いていた。

僕は二日酔いに苦しみ、土佐衛門の如く座敷に
ぐったりと横たわっていたが、Rがちょこちょこと
中華帽を被って歩いて来た。

「ははは、ママの部屋から持ってきたのかな?」

いや待て。この帽子には見覚えがある。いつ、どこで
見たのだったか。

「それはあなたが私に初めてくれたプレゼントなのよ」

後からやって来た嫁が答えを言った。はてそうだったか。
言われてみれば昔、中華街で買った記憶があるような
ないような。

しかしまだ付き合って日が浅かったであろう嫁に、何故
こんなキョンシーかゼンジー北京ぐらいしか似合いそうも
ない帽子を初めての贈り物として選んだのだろう。過去
の自分の愚かさが憎い!

かつての贈り物たちは、帽子以外にもゾロゾロと出て来た。
殆どがキャラクター物ばかり。おじゃる丸、トロ、ピカチュウ、
ウゴウゴルーガ…オタクな物ばかりである。

電車男だってもっとマシなもん贈ってるぞ!こんな物ばかり
贈られ続けたにも拘らず、僕とツガイになった嫁も思えば
不思議な奴だ。練馬七不思議のひとつぐらいにはなれる
かもしれない。

かつて女性に贈った物と、時を越えて再会。これだけ
まとまった形の体験は初めてであったが、決して

「うふふ、懐かしいねえ」

などと呑気にノスタルジーに浸れるものではなかった。
かつての自分の愚かさや若さが滲み出ているのだ。
過去に書いた恋文を目の前で朗読されるような恥辱
プレイである。

勿論こんなイロモノの贈り物だけではない。結婚直前に
嫁が心からねだってきた物があった。

それは「愛してる」という言葉で、僕はそのような甘ったる
くも白々しい言葉は死ぬほど嫌っていたのだが、脂汗を
流して言った。必死で贈ったあの言葉も、まだ何処かに
しまわれているのだろうか。

「私、Rと月曜まで実家に泊まるから、あなたはひとり
 で帰ってね」

「ひどい!」

やはりとっくの昔に捨てられているのかもしれない。




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