2018-09-05(Wed)

送る親父の贈る言葉。

まだ7月、夏が始まったばかりだけど暑さが半端ないとある日曜日のことだった。

娘・R(中三)が英検三級の二次試験を受けるという。Rは電車の乗り継ぎがまるで分からないため

「連れてってあげてくれない?」

と嫁から頼まれた。会場は電車で30分ほどの場所。

「移動はいつもヒデ爺運転のロールスロイスで」

みたいな花輪君レベルのセレブなら電車の乗り方なんて分からなくても問題ないがウチはド庶民。セレブどころかひでぶである。だから電車に乗るたびによく使う路線や乗換駅をRに教えてやろうと

「この駅はね…」

などと教えようとするのだけれども

「あっそ」

まるで馬耳東風で覚えようとしない。乗り換えひとつ出来ずに何が英検か。と言いたい気持ちを抑えつつRを連れて英検会場へ向かう。近所のAちゃんも一緒だった。Aちゃんもやはり電車の乗り方はサッパリだとのこと。

こういうのって女の子にとっては苦手分野なのだろうか。息子・タク(中一)はわりと覚えてしまって、先日はRを連れて自力で栃木の実家まで行っていた。もっともRとAちゃんがアレなだけな気もするが。

さて、RとAちゃんはふたりとも制服を着ていた。このクソ暑いのに律儀にもベストまで。もともとダサさに定評がある制服だけに余計に暑苦しく見える。

「ていうか私服でよくない?」

と聞いたら

「これは学校の授業の延長。だから制服」

まじめか。

ふたりは電車に乗ってる間、制服を着ている同学年っぽい学生を見かけるたびに

「絶対あの子も英検だよ!同志だ!」

とヒソヒソ話していた。日曜とはいえ山手線に制服で乗っている中高生がどれだけいると思っているのだろうか。彼女らの会話内容を聞いてると二次試験に受かる希望がどんどん失われてゆく。

最寄り駅に着き降りた。駅から徒歩10分と書いてあったがR達のダラダラ歩きではもっとかかってしまった。真夏の暑さだし強制歩道橋だったりで余計暑さが重く圧し掛かってくる。

「これで落ちたら悲しいよ」

と弱音を吐くR。試験は一対一の英語での問答である。父としてできるアドバイスは少ないが

「質問が良く分からなかったら『ぱーどぅん?』だ。早くて聞き取れなかったら『すろうりい?』だ。それでもダメなら出川イングリッシュでなんとかしろ」

と言っておいた。

半端ないって
途中のリサイクルショップでこんな貼り紙があり

「なんだこれ!」

「パクリ半端ないって」

と大笑いした。古着屋だけにネタも使い回し。なんちて。しかしこれ、ワールドカップ当時はかなり流行っていたけど、ラッスンゴレライ並みの速さであっという間に風化してしまったなあ。

半端ない店を過ぎてコンビニの前を通りかかると

「あ、そうだ。飲み物買ってもらえってママに言われたー」

と手のひらを差し出すR。はいはい、パパがなんでも買ってあげるよ。

で、ようやく会場の学校に着いた。

「がんばれよ」

「はーい」

ふたりとも振り向きもせずにとっとと中に入って行ってしまった。少し寂しくなる僕。中三にもなると父親なんてゴミを捨てたい時のゴミ箱程度の存在感しかない。

親は子を「木の上に立って見る」と書く。いつもはそっと見守り、頼られた時だけ助けを出してやればよいのだ。しゃしゃってもウザがられるだけ。

ちょうど校門のそばに松の木があったので登ってみたら守衛さんに怒られた…って、これはウソである。松だけに嘘松。なんちて。

それにしてもひとこと「ありがとう」ぐらいは言ってくれたっていいものだけど。

英検サンキュー。なんちて。

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