2003-03-01(Sat)

.chikubi { color

以前、妊娠すると胸が大きくなる、
という主旨の日記に書いたら

「私はBからDに」とか
「私はCでした」とか
「今でもEなのに妊娠したらどおなっちゃうの~」

などと、掲示板やメッセンジャーなどに
多くの女性からの胸サイズ報告を受けてしまった。

たとえば職場などで

「山田クン、チミのバストは何カップかね」

などと女性社員に聞こうものなら

「イヤアアア梶山部長がセクシュアルなハラスメンツよー!」

と、速攻でアルカトラズ出張所あたりに飛ばされるのご時世なのに
これはどういうことであろうか。

みんなして僕を悶々とさせたいのだろうか。

それとも、胸のサイズを言うことは大して
恥ずかしくないことなのだろうか?

「今日生理なんです」

と平気で言う女性もいるし。
純情で可憐で童貞な僕のほうが戸惑ってしまうのである。

いずれにせよ、これは女性の胸の話だから微笑ましいのであって、
もし男性から

「僕のアレは13センチなんです」
「最大時でも8センチなんです」
「17センチだけど仮性です」

という男性自身サイズ報告で掲示板が埋め尽くされてしまったら
僕はその掲示板は二度と見たくなくなるであろう。

どのみち、僕はとても自分のサイズを言うなんて
恥ずかしくて出来ない。

<chinko size=14>他の男性もそうなのかは分からないが、
どうなんだろね。</chinko>

2003-03-02(Sun)

花粉=胞子=○子。

家に帰ったら、嫁の目が真っ赤だった。
目が潤んでて、顔全体も紅潮していた。

うつむき加減でタオルで涙をぬぐい、
ティッシュでぶーん、と鼻をかむ嫁。

また泣いてるのかよ。

嫁は泣き虫である。また僕が何かをやらかしてしまったのだろうか。
思い当たることはいくつもある。

家事やらないとか
臭い靴下いつも脱ぎっぱなしだとか
夜中4時ごろまでネットやってて一緒に寝てくれないとか
隠れて女の子と電話してるとか。

今度はいったい何がお気に召さなかったのであろうか。

ヤバいなーと思いつつ、取り敢えずスーツを脱ぐ僕。

あっ。それとも。
まさかまさかまさかまさか、

おなかの子供によからぬ変化が。出血してしまったとか…。
僕の血の気が引く。

嫁のずびび、と鼻をかむ音がした。
嫁のぶぶぶ、と鼻をかむ音がした。
嫁のずばば、と鼻をかむ音がした。

「…お前、花粉症か」

「うん。ハナジルがドバドバ止まらないの~」

泣いていたのではなかった。
よく見たら目より鼻の下のほうが真っ赤。

やっとつわりが治まってきたかと思ったら、
今度はこれである。
生命を育むのは一筋縄ではいかないようだ。

「ハナジルが赤ちゃんまで行かないかな?
 行ったらやだな。蝕まないで欲しい」

嫁がおなかをさすった。 

「じゃあ僕の花粉を流し込もう。逆治療だ」

しばらくご無沙汰なので僕がそう提案したが

「何が逆で何処が治療なのよ!訳わかんないし!」

また拒否されてしまった。

スギ花粉ばっかり体内に侵入して
僕の花粉は入れられないなんて。

花粉さんたち、お願いだから嫁は避けて通ってネ!
嫁はもう僕が飛ばした花粉で受精済みなのヨ!

いや、花粉じゃないけど。

2003-03-03(Mon)

ハンドルネーム(Handle Name)じゃなくて子宮ネーム(Womb Name)決定。

ある夫婦が妊娠した。

性別はまだ分からなかったけれども
ふたりはおなかの子供を仮に「ミキ」と名付け

「ミキちゃん元気ですかー」

などと日頃から呼びかけることにした。

やがて産まれて来たのは男の子だったので
その子供は「ケンイチ」と命名された。

ケンイチ君が大きくなり言葉もどんどん覚えてきたある日、
突然こんなことを言った。

「僕、ミキって呼ばれてたよね!
 でも、おなかから出てきたから
 今はケンイチなんだよね?」

両親は大変驚いた。

「ケンイチ、産まれる前のことを覚えてるの?」

「うん。ママに、ミキちゃん早く大きくなって出てきてね、って
 言われてたのを覚えてるよ!おなかの中は真っ暗だったよ!」

子供はおなかの中にいる時から物音が聞こえていて、
「ミキちゃん」のように名前を付けて話しかければ
これは自分に対するメッセージなんだな、
ということまで理解するらしい。

そして産まれてきてからもその頃の記憶が残っているらしい。



「…と、いうわけなのよ」

以上の話を嫁が語った。職場の同僚の実話なんだそうだ。

「だからね、ワタシ達も名前付けようよ!」
 
嫁はこういう話にすぐ食らい付く。
オバサンになったら絶対みのもんた信者になるタイプだ。

「どんな名前にしよ…」

「Rがいい」

「え、Rちゃん?」

嫁の目が曇った。
Rちゃんとは、僕が大好きな近所の超美少女のことである。

「別に男だっていいんだろう?仮の名前なんだから。
 Rじゃなきゃイヤだ!これだけは譲れん!」

「まあ、アナタは絶対そう言うだろうと思ってたから
 いいんだけどさ…」

そんなわけでおなかの子供は「R」と呼ばれることになった。

「あ、でもさ、そしたら僕の『息子』にも
 名前を付けないと不公平じゃない?」

「何バカなこと言ってるの?そんなの『kajilin』でいいよ」

嫁はめんどくさそうに吐き捨てた。

動物でも「名前を付けると情が移る」とよく言うが
僕も急に彼らが愛しくなって来た。

「Rたーん、元気でちゅかー」

「kajilin、お前はもうちょっと節操を持て」

一気に一姫二太郎。

2003-03-04(Tue)

可愛いベイビー、オイオイ…。

友達のマサトと会った。
久しぶりだったので子供が出来たことを伝えた。

「kajilinさん、そりゃオメデタじゃないですか。出産予定日は?」

「8月18日」

「へー。僕、7月29日なんですよ」

「お前の誕生日なんか聞いてないよ」

「いや、だから、僕の子供の出産予定日…」

ええええええええええっ!
いつも彼女とイチャイチャしてるのは知っていたが、

ひょっとして、デキチャッタ☆ケコーン?

「籍はどうしたんだよ!入れてないだろ?」

「…いずれ、入れますよ」

大丈夫なんかなあ。

「マサト、先に結婚した僕より早く子供出来やがって」

「へへへ、僕の勝ちですよ」

「うっせーばーか、ゴムぐらいちゃんとつけろ!」

「何を、このブルマフェチ!」

不毛な争いはともかく、僕は彼のことが心配であった。
彼はまだハタチそこそこだし、
今までの傾向だと仕事も女もコロコロ変わりがちだし。

いや…。一番恐れているのはそんなことではなく。
マサトと別れ、すぐさまドドドドドと帰宅。嫁も帰っていた。

「大変だ。マサトに子供が出来た。
 僕らより半月ほど早く仕込んだらしい」

「ええっ。彼も?」

驚く嫁の腹をしゅごおおおおお…とさすり、
僕が愛して止まない近所の美少女「Rちゃん」に
ちなんで命名した子供に呼びかけた。

「Rよー!大きくなれー!マサト子供よりも早く産まれてこーい」

「ちょっと、あなた、急にどうしたのよ!」

「だって、このままだとマサトが先に子供に『R』と
 名付けてしまうじゃないか!
 『元祖R』はウチの子供にするんだああああ!」

「えー」

何故僕がそんなことを危惧しているかというと、
実は僕とマサトは過去「Rちゃんファンクラブ」を
結成していたのであった…ことは内緒である。

2003-03-05(Wed)

灯りをつけましょ(´・ω・`)ションボリに。

パパイヤ鈴木って子どもいるのかなあ。
いるとしたら学校でいじめられてるんじゃないかなあ。

「お前の父ちゃん、でーぶーや!」

「お前の父ちゃん、まーいーう!」

パパイヤの子どもは嘆く。

あんなパパ、イヤー!

…そんなダジャレが浮かんだ。

会社の女の子に聞かせて嫌がらせしてみようかと思ったが、
何か嫌な予感がしてGOOGLEで検索してみたところ
既にこんな立派なものがあることが分かった。



厚生労働省「仕事と家庭を考える月間」


僕のは「既出ネタ」であった。

所詮僕の語彙など、ダジャレ好きな広告屋並みか
それ以下に過ぎない、と落ち込んでいた。

そんなことがあったある日、僕は会社でちょっと偉い人に
仕事の報告をしていた。

「…ですから○○については全体的に
 強化しないといけません」

偉い人は答えた。

「うむ!じゃあ早速強化しないと!
 いつやるか?明日か?強化?」

きゃああああああああああ。

偉い人は更に指示を出した。

「それと、誰に担当やらせるかだな!それを決めなきゃ!
 誰がいいか?鈴木強化?」

いやあああああああああああ。

本家本元、本場モノのオヤジギャグを受け
目から鱗が落ちる思いだった。

で、弟子してください!
僕はドジでノロマなカメでした!

「強化ん」と呼ばせていただきます。

2003-03-06(Thu)

ワーカホリック、エロスホリック。

1日1本・ガンバルンバ、のユンケルとか
乳輪千ミリグラム配合、のリポビタンDなどは飲まないが

眠気覚ましドリンクはよく飲む。
今日買ったものにはオマケがついていた。

「総合ビタミン剤」と書かれた錠剤がひと粒。
なんか体に良さそうである。

僕が職場でドリンクを一気飲みしてたら

「お前、そーいうの好きだよな~」

隣にいた星野係長に言われた。

「今日はオマケもついてたんですよ、ほら。
 元気が出そうでしょう」

僕は「総合ビタミン剤」を係長に見せたのだが

「それって、ごく一部だけが元気になっちゃうヤツなんじゃないの~?
 お前、奥さん身重で夜のほう、ままならないんだろう?
 そんなの飲んだら大変なことになっちゃうぞ~」

ウヒョヒョヒョ…と、思いっきりイヤらしい笑い方をされた。

「そんなんじゃないですよ!何を言うんですか!
 まだ昼前じゃないですか!ハラスメンツじゃないですか!」

思いっきり図星だったのだが、とりあえずムキになって否定して、
そのドリンク剤をぱくっと飲んだ。

…までは良かったのだが。

やがて仕事に忙殺され、そんなやりとりもすっかり忘れた頃
僕はトイレに行き、洗面台で手を洗った。
鏡面台に写った顔を見ると、何やら赤いものが垂れて来た。

鼻血だった。

まーじーでー。

やっぱりそういう「精力方面」の錠剤だったのか?
恐るべし総合ビタミン剤!
そして恐るべし係長!

とにかく、このまま戻るわけにはいかない。

「何だお前、やっぱり溜まりまくってんじゃないかウヒョヒョ」

係長が最強にイヤらしく笑うに決まっている。

僕はティッシュを鼻に詰め、血が止まるまで
トイレの個室に籠もるしかなかった。

こうしてる間にもどんどん仕事が溜まる。

仕事の虫と化してやらなければならないのに、
なんだって便所虫になるハメに…。

2003-03-07(Fri)

春なのに、ため息またひとつ。

夜、いつものゲーセンに行ったら。
店員の三上君がつつーっとやってきた。

「長い間お世話になりました」

彼は深深とお辞儀をした。

「えー。辞めちゃうの?」

「辞めるというか、この度動くことになりまして…」

「異動?」

「まあそんなところです」

三上君はこのゲーセンの中ではおそらく一番古い。
僕もかれこれ5年ぐらいの付き合いか…。とにかく残念なことである。

僕はやはりここのゲーセンの店員だった、超お気に入りの美少女Rちゃんが
辞めた時の事を思い出した。
最後の日の記念に、と、撮った写真には笑ってはいたが
どことなく寂しそうな表情が映っていた。

僕も抱きしめたくなる程寂しかったもんだ…もちろん抑えたが。

こうなったら、彼女にちなんで「R」と名前をつけた、
おなかの中の子供を抱きしめて悲しみを慰めるしかない…
嫁ごとなのが残念だが。

僕が余程な顔をしていたせいなのか、三上君は口を割った。

「いや、あの、実は単に夜番が朝番になっただけなんです…」

何ー!寂しがリータをからかうのはやめて欲しい。

2003-03-08(Sat)

中国四千年の溺死。

髪をおだんごに結ってチャイナドレスを着た女の子は
わりと好きである。

「ニイハオ、ワタシ、ミンミンアルヨ」

って感じで。

そんな動機で、ゲーセンで取ったチャイナドレスを
ある女の子にあげることとなった。

会社帰りに会って渡す約束だったので仕事カバンの中に入れて出勤。
しかし、遅刻しそうだったので剥き出しのままカバンに
突っ込んだのが悲劇の始まりだった。

電車に乗り、本でも読むかとカバンを開けたら、
中にあるドピンクのチャイナがどーん、と目立っていた。

周りの乗客に見られては怪しまれる、と慌ててカバンを閉じた。
幸い誰にも悟られずに済んだようだ…。

アイヤー。ビックリシタアルヨ…。

会社に着いて、仕事を始めるにはまず資料をカバンの中から
出したいのだが、開けたらドピンクのチャイナがどーん、である。

隣の係長にでも見られたら

「てめー!何のプレイの仕込みだコノヤロー!」

と、大声で言われるに決まっている。それは避けなければ…。

学校でお昼の時間、何故だか弁当を隠して食べる子供のように
こそこそと猫背でカバンを開けて資料を出さざるを得なかった。

アイヤー。ヒヤヒヤシタアルヨ…。

午後、会う予定の女の子に、時間は何時ごろがよいか、
などと念のためメールをした。程なく返事が来た。が…。

「えーと、来週の月曜日にしてくれませんか?」

ポコペーン!(※)ソリャナイアルヨ…。

どうやら麻薬の密売人のようなリスキーな出勤を
もう一度やらなければならないようだ。

月曜日か…。

困っチャイナ~♪

デートに誘われ…てるわけじゃないんだけど!

※ポコペン…中国語で「だめだ」の意。

2003-03-09(Sun)

狐の嫁入り、嫁の狸寝入り。

嫁の機嫌が悪かった。
寝る時も「おやすみ」の一言も言わずに
ふすまをすーっと閉めて寝てしまった。

おそらく、僕が夜遅くまでネットをやっているからだと思う。
おそらく、僕が家事をやらないせいだと思う。
おそらく、僕が風呂に入らないからだと思う。
おそらく、僕の足が臭いからだと思う。

おそらく…あああああああ。

このまま放置しておくと、
かなり重い家庭内摩擦になりそうだったので
とりあえず僕も寝ることにした。

嫁は壁のほうを向いて寝ていた。
明らかに拗ねている。

ちょっとご機嫌を伺おうと、ぽふっ、と、肩を叩いてみた。
反応がない。もう眠りについているのだろうか。
しばし沈黙。
やがてその静けさを破る

「ごきゅり」

という音がした。嫁の唾を飲む音である。

へっへっへ。起きてる。絶対。

僕はそう確信し、奥の手を使うことにした。
嫁の顔を強引にこちらに向かせて、

ぶちゅー。

これでどうだっ。

…それでも嫁は黙ったままだった。何の反応もなし。

こうなったら本気の本当の奥の手を出すぞ!と思ってパンツを脱ごうとしたが…
やめた。

いじけるのもいい加減にするがよい。こっちが
いじやける(※)だけだ。

僕は諦めて横になった。僕も眠りにつこう。
そう思った矢先、嫁の手がすーっと伸びてきて
僕の手をつかんだ。

ほらみろ、起きていたじゃないか!

嫁がごそっと動き出した。そして

「ゴメンネ…」

と、一言だけ呟いた。

「何が?」

僕は聞き返したが、嫁は何も言おうとはしなかった。

何なんだ!何がごめんなんだ!

僕は混乱しつつも日ごろの寝不足がたたって
いつの間にか眠りに落ちていた。

その意味は今でも分からない…。
ていうか、怖くて聞けない。

※いじやける…栃木弁で「むかつく」の意。

2003-03-10(Mon)

babybaby.

昨夜、三日月嬢とカヲリ嬢と飲んだ。

その前に嫁に「飲みに行くから」とメールを入れたら

「Rちゃんが、お父様飲みすぎないでね、だって」

そういう返事が来た。
嫁はおなかの中にいる子供、「R」のセリフを代弁をする。
「R」とは僕の友達の超美少女の名前だ。
彼女の名前をそっくりいただいた。

「大馬鹿地蔵」という名前も店自体のサービスも大馬鹿な店で
飲んで、帰りが0時を回りそうになった。

「ちょっと遅くなるよ」

と、嫁にメールを入れると

「お父様、早く帰ってきてね、とRちゃんが言ってます」

またこんな返事が入っていた。

家に着くと、嫁は寝っ転がっていた。

「お父様、お帰り、とRちゃんが言ってます」

「お父様、お酒臭いでちゅー、とRちゃんが言ってます」

嫁はにこにこしている。

しかし実際のところはどうなんだろうか。
本当に「R」という名前で良いのかどうか?

今日酒飲んだ2人に

「子供に惚れた女の名前付けるな!」
「女の気持ちが分かってない!」
「そういう嫁は男がつけあがるだけだ!」

吊るし上げを食らってきたのでええええええ!

2003-03-11(Tue)

恋の病と花粉症は一生治らない。

電車が日暮里駅に着いた時だった。

正面に座っている女の子が
僕を見つめているのに気がついた。

さては僕の顔に鼻糞(鼻毛付)でもついているのかと思ったが
違った。

後ろにある電車の窓の向こうを見てみると、
駅のホームでこちらに手を振っている男がいる。
たぶん、カップルなのだろう。彼を見ていたのだ。

女の子はもう顔からメガ粒子砲が出そうなくらいの
熱視線とまばゆい笑顔で彼を見送る。

たぶん、彼女の最高の笑顔なのだろうと思った。

あれが「恋☆しちゃってるガール」の表情なのだ。
こちらも溶かされ火傷しそうな。

やがて電車が動き出し、彼の姿は見えなくなり
それに合わせて彼女の笑顔はこわばって来て、
軽く震えた拍子に幾粒かの涙がこぼれた。

これも「恋☆しちゃってるガール」の笑顔の裏側。
こちらももらい泣きしてしまいそうな。

いいねえ…恋愛だよ…。
オジサン、酒呑みたくなってきたよ…。
チーカマとイカくんはないんかコラ。
あとエイヒレ。

僕をそんな風に見つめてくれる相手は。
嫁…かね。

嫁は最高の笑顔を返してくれるだろうか。
僕は隣に座っている嫁を覗き込んでみた。

嫁の顔は…

花粉症のため顔の下半分をマスクで覆い、
残り半分はコンタクトをはめられずに
止むを得ず掛けた野暮ったいメガネで

その奥の瞳はウツロで宙を彷徨い、

花も恥らうようなとびきりの笑顔どころか
監視カメラに映った銀行強盗。

「あー…またひどくなってきた…」

嫁の鼻がぐじゅぐじゅ音を立て出した。

「洟☆出ちゃってるワイフ」…。

2003-03-12(Wed)

チャイナドレスVSマタニティドレス。

ちあきちゃんと渋谷で会った。
僕が持っているチャイナドレスを是非欲しい、というので
渡すのである。

とりあえず飲み屋に入った。
ちあきちゃんは言っていた。

「奥さん大丈夫ですか?心配してないですか?
 取って食ったりはしないので安心して下さい、って
 言っておいて下さいよ」

嫁には「飲みに行くから」と、事前に断りを入れておいたのだが
それを心配してのことであった。

普通、逆である。

こんな可憐な美女をして、三十路オタク面の男に
言わせるセリフではない。なんだか申し訳なくなってきた。

それはともかく、忘れない内にちあきちゃんにチャイナを渡す。
彼女はホワイトデーイベントだとかで
これを着て週末クラブで踊るという。

チャイナを着て踊ると、胸だの脇だの股間だの
いろんなところからいろんなものがはみだして
そりゃもう大騒ぎと聞く。

僕も一緒に行ってハアハアしたいどころだが
身重の嫁がいるのでそれは叶うまい。

そういえば、ホワイトデー?

嫁にお返しをしなければならなかった。
しかしまだ何も準備していない。
週末まで仕事がびっちりで仕込むヒマがない。
どうしよう。脂汗が出てきた。

クラブで踊るどころか難儀なイベントに踊らされ…。

家に帰ると嫁がマタニティの上から
腹をさすって呟いた。

「この子が『お父さん遅いね、どうしたんだろうね』って
 心配してたのよ」

嫁には脅され…。

2003-03-13(Thu)

別にエロではないベッドシーン。

目覚まし時計が鳴る時間より一時間も早く、
僕はあまりの寒さに目が覚めた。
布団から体が半分以上出ていたのである。

ただでさえ寝不足なのに、こんな目覚めは最悪だ。
布団に入り直して、二度寝。

それから30分ごろ経ったのだろうか、
今度は唇に熱いものを感じて目が覚めた。
すぐそばには嫁の顔が。

「お前、ちゅーしただろ」

「あら、わかった?」

しまった。王子様のキスじゃないのに目を覚ましてしまった。
その前に僕はお姫様でもないのだが。

しかし、ただでさえ寝不足だけれど
こういう目覚めは悪くないと思った。

「ちょっと前にも目が覚めたんだよ。寒くて…」

僕が体を震わせて言うと、嫁は悪戯っぽく笑った。

「ゴメン、その時あたしが布団思いっ切り引っ張ってガメてたの」

体が寒くて目が覚めたのも唇が熱くて目が覚めたのも全て貴様のせいか!
僕は憤ったのだが

「でもお腹の子が冷えないようにって思って、つい」

うー。子供を出されると、僕は何も言えなくなってしまう。

熱さ寒さも破水まで。

2003-03-14(Fri)

タバコとキスはやめられない。

「私、禁煙してるんですよ。2ヶ月続いてます」

僕の向かいに座っている会社の女の子が言った。
偉いと思った。

僕はタバコを1日ひと箱吸う。
そして禁煙もしたことはある。

89回ぐらい。

ことごとく失敗している。

夕方、僕がオフィス内の喫煙コーナーで
タバコを吸っていたら、その禁煙中女の子が通りかかった。

胸ポケットからタバコの箱をちょい、と取り出し、

「どお?」

と目配せした。

「いえ…いいです」

彼女は必死な形相で断った。

「ぱたぱたぱた」

次に僕は煙が彼女に行くように手であおった。

「そういうえげつないことはやめてください!」

彼女は決心がぐらついてきているはず…よっしゃもう一息。

「キン エン シテテモ スイタイヨー スイタイヨー♪」

「キャアアアアアア!やめてください!」

とうとう彼女は耐え切れずに叫んだ。そして

「kajilinさん、奥さんは妊娠中でしょ!
 よくないです!
 奥さんとお子さんのためにもやめるべきです!」

心にグサリと来る一言を残して去っていった。
僕は一人喫煙コーナーに取り残された…、

と、思ったら隣の部署の人がやって来た。
僕をいぶかしそうな目で見て

「今の声、何~?妊娠とか、やめるとか」

と、聞いてきた。

「ああ、いや、その」

「君、不倫はいかんよ」

違うんですけど。

2003-03-15(Sat)

手が届かなくなった美少女。

電車の中で雑誌を見ていたら、
あるカフェのオープンが記事として載っていた。

オープニングで張り切る店員さん達の写真。
中でもひときわ可愛い店員さんが大きく載っていて…。

僕はここで悲鳴をあげそうになった。

Rちゃんだ!

Rちゃんとは近所のゲーセンに勤めていた
僕の超お気に入りの美少女。

ここ1ヵ月ほど電話すら繋がらなくて
非常に寂しくもあり、何をやっているか
心配だったのだが…。

こんな立派に働いているとは。
こんな可愛い制服来ちゃってますます可愛い。
あたしゃ、どうしたらいいんだよ。
(それほど可愛い写真だったのである)

「みみみ見てください、この子、僕の娘なんです!」

と電車中の乗客に見せびらかしたい衝動を
かろうじて抑え(娘じゃないし)
家に着くなり嫁に雑誌を見せた。

すると嫁は毛虫でも見るような目で僕を睨み付けた。

「ほんとだ、Rちゃんだ…ところでアナタ、鼻の下長いよ」

「うるさいっ。嫁、お願いがある」

「ナニヨ?」

「Rちゃんに電話してくれ」

「はあ?自分でしなさいよ!」

「いや…僕、シャイで純情で乙女ちっくだから」

「何が純情よ!
 何がシャイよ!
 何が乙女ちっくよ! 
 前、Rちゃんと電話で話してたじゃない!
 もの凄いエロな顔して!
 しかもよりによってアタシの目の前で!
 アタシの目の前で!
 アタシの目の前で!」

嫁は怒って手に負えぬ状態になってしまったので
Rちゃん電話は諦め、僕から改めて雑誌を眺めた。

こうして見ると、メディアに取り上げられたRちゃんは
なんだか僕らの手が届かない存在になってしまったような
気がする。

…。

嫁が肩越しにニュウっと覗き込んできた。

「アナタ、なんか切なくなってない?」

ぎく。

いや、だから、シャイで純情で乙女ちっくだって…
なんてことは言えない。

2003-03-16(Sun)

明かりを消しましょ(´・ω・`)ションボリに。

夜、家に帰ると誰もいなかった。
嫁はまだ仕事から戻ってきてないのか?

トイレの扉が少しだけ開いていて、
そこから明かりが漏れていた。

まさか…おなかの子供に何かがあって
中で倒れているとか?

血の気が引く一方で脂汗が出た。

ばん、とトイレの扉を開けると…。

誰もいなかった。

朝、嫁が明かりを付けっ放しで出て行っただけの話だった。
紛らわしいことしやがって。

僕はよくイロイロな物を付けっぱなしで嫁に怒られる。

電気を付けっ放しで嫁に怒られ、
暖房を付けっ放しで嫁に怒られ、
パソコンを付けっ放しで嫁に中を覗かれ、

アレの後ゴムを付けっ放しで寝てしまい嫁に笑われ、

散々である。

だが、いつも僕を怒るくせに、嫁だって忘れるじゃないか。
わはははははは。
鬼の首を取ったようにはしゃぐ僕。

しかも、明かりを消し忘れただけじゃなく、
紙も流し忘れてるし。

これをネタに、もう僕が一方的に怒られることはないだろう。

僕に見られたのが運の尽きだ。

いや、別に紙にうむこが付いていた訳ではなく。

2003-03-17(Mon)

嫁と美少女と子供とバカ夫。

僕のお気に入りの美少女Rちゃん。

どれくらいお気に入りかというと、嫁のおなかの中にいる子供に
既に「R」と名付けてしまった程である。

しばらく会っていなかったが、某雑誌が取り上げた某喫茶店の取材記事に
店員として写真掲載されていたのを発見してしまった。

連絡を取ろうと思って2度ほど電話をかけてみたのだが
何かドキドキしてしまい、すぐ切ってしまった。

あたしゃ初恋の中学生か。

そんなことも忙殺され、会社で残業していたら、ケータイが鳴った。
どうせ嫁が「今日何処かで食べてきて」とか「気持ち悪い~!」
という訴えでかけてきたのだろう…と思ってケータイ画面を見たらたら

「着信:R」

ぎょえええええええ!まじでえええ!
ケータイをお手玉しそうになってしまった。
落ち着いて電話に出なければならぬ。

「もしもしー、kajilin?」

電話の向こうから紛れもないRちゃんの声が。

「はい、お世話になっております」

しまった。仕事モードが抜けていなかった。

「例の喫茶店の写真見たぞ見たぞ見たぞ」

「あ、もうバレちゃったのかフフフ…」

懐かしくて涙が出て来そうになった。
話を聞くと明日もそこで働いている、というので

「行ってみていい?」

「いいよ」

「じゃあ行く」

そういうことになった。

しかし、僕は純情でシャイで乙女ちっくで童貞なので
とても一人で行くなんてできない。
だから嫁を誘ってみた。

「へえ…よかったねえ…じゃあワタシも行くよ」

嫁は冷静だった。仕方なしに付いて行く、というよりも
僕が一人で行くと何するか分かったもんじゃないから…
と考えているようにも思えた。
ともかく明日会えるので顔が自然にニヤついてくる。

「Rちゃーん…」

「アンタ…何呟いてるのよ」

はっ。しまった。つい口に出てしまった。
だんだんと嫁の周囲の気温が下がってきたような。

それから嫁は、おなかをさすりながら言った。

「今日ね、Rちゃん(我が子のほう)がおなかを蹴ったような気がするの」

「えええええ?Rちゃーん!(我が子のほう)」

Rちゃん!君にあやかって名付けたウチのRは
ちゃんと育っているよ!

…なんてことは言えないし。

2人の「R」でややこしくなってまいりました。

2003-03-18(Tue)

暴走と妄想と闘争の喫茶。

僕のお気に入りの美少女Rちゃんが勤める某喫茶店に行く。
会うのは半年振りぐらいじゃないだろうか。
途中の電車の中で監視役の嫁がおなかをさする。

「Rちゃん。Rちゃんとご対面ですよー」

嫁の白い目も無視して、僕が強引にRちゃんの名前を
そのまんまパクって名付けた子供。
Rちゃんにはまだ子供が出来たことは話していない。

まあ「この子もRちゃん」とは、おそらく言えないだろうが。

そんなことを考えつつ店に入ると
いたー!いたー!いたー!Rちゃんいたー!

もう大暴走して、なんか凄いことやらかしちゃって
入店2秒で即強制退店以後出入禁止になりそうな勢いで興奮したが
嫁が脇にいたので自制。

席に着くとまずRちゃんが水を運んできてくれた。

「や、ども」

「や、久しぶり」

隣の席にはじーっとこちらを眺めているオタクっぽい男がひとり。
さてはこいつ、Rちゃんファンか。怪しい。

その他にも客が結構いて、店も忙しそうだったので
Rちゃんが注文したものを運んで来てくれた時だけコソっと話をした。

後はRちゃんの働きっぷりを眺めていた。が…。

あんな胸を強調した制服を着るのは店長が許しても僕が許さん!とか
あっ!あのオタクっぽい客!気安くRちゃんを呼びつけんじゃねえ!
ていうかRちゃんは僕以外の客は無視しろ!
店長が許さなくても僕が許す!とか

全然落ち着かなかいので、嫁の顔でも見てることにした。
すると、嫁がRちゃんを呼んだ。トイレに行きたいらしい。
Rちゃんが付いていって案内してくれた。

しばらく一人でタバコを吸ってる僕。
いつの間にか隣のオタクっぽい男はいなくなっていた。

嫁がトイレから戻って来たので僕らも
帰り支度を始めることに。ふと、

「いらっしゃいませ」

客を迎えるRちゃんの声が聞こえた。迎えられた客は…

いつの間にか帰ったはずのオタク男ー!

なんだこいつは!何でまた来るんだよ!Rちゃんファンなのか!
なんてヤツだ!Rちゃんファンは僕チン以外みんな死ねー!

「ねえねえ」

はっ。嫁の声で我に返った。

「さっきトイレでRちゃんに『子供がいる』って話したらビックリしてね。
 Rちゃん、おなかをナデナデしてくれたの」

「いいなあ。僕も下腹部をなでなで…」

嫁の顔がさっと冷たくなったので言葉を切った。

「この子、嬉しいのか凄い元気になってるのよ」

「…男だね、この子。絶対」

「…そうだね。アナタそっくりの」

嫁がナデナデしてくれた。

2003-03-19(Wed)

今さらホワイトデー!今さらヤバイノネー!

そういえば、週末はホワイトデーだった。

その頃、僕のお気に入りの美少女Rちゃんから連絡があったり
久々の対面があったり、で浮かれまくっていてすっかり忘れていた。

しかし、何もしなかった訳ではない。
話は遡るがホワイトデーの夜は残業していた。

「ホワイトデーなのに残業だなんて、寂しいよね…」

そう同僚が呟いたので僕は血の気が引いた。

嫁に何もお返しを買っていない!

嫁は記念日とかが大好きなので、万が一忘れると
一生、いや墓の中に入ってまでも恨み言をブツブツ言われるだろう。

時計を見ると…20:30。
店、やってるかどうか超ビミョー。

「いきなりですけど、お先っす!」

猛ダッシュで会社を出、店を探す。

ていうか、何の店?
ホワイトデーって何をあげるんだっけ?

ホワイトデーなんだから
おっちゃんの白い液でも飲ましときゃいいんだよ
ホワイト出~。

ぐえっへっへ…すいません。

結局そうもいかず(当たり前だ)、閉店直前の
洋菓子店があったのでそこに駆け込んだ。
しかし、店のショーウィンドウはほとんどがカラッポ。

残っているのはチーズケーキのみだった。

僕はチーズケーキが嫌いなのであった。

ゆえに、こんな店も嫌いだっ。

僕は悪魔の三段論法の呪いを投げつけ、
即座に店を出た。こんな店、ザラキ。

他も探したのだが、最後はコージコーナーしか開いてなくて
ありきたりなケーキを買ってお茶を濁してしまった。

何のひねりもなくてつまらなかったと反省し、

…夜中、白い液を飲ませた。

つゆだくホワイトデイ。←嫁のエロ日記より。

2003-03-20(Thu)

早朝の愛。

今朝は嫁のほうが先に起きた。
いつもより早い勤務らしい。

僕も嫁が起き上がる拍子に目が覚めたが
「もうちょっと寝ていたいな…」と
布団の中でウツラウツラしていた。

やがて玄関のドアがばたんと閉まる音がして、
ビクっとして目覚めた。

嫁は行ったようだ。

…もうちょっと寝よう。

と、思ったらすぐ玄関のドアが再びガチャ!と開く音。
嫁が戻ってきたようだ。そして、間もなくバタン!

何なんだよっ。忘れ物かよっ。野暮ったいなあもう。
安らかに寝かせてくれよっ。

やがて僕も出勤の時間になって起き出し、
家を出ようと玄関に立つと、
クツの上に傘が置いてあった。

「?」

ドアを開けると、雨がしとしと降っていた。

嫁の二度目のドアの音はそのためだったのか!

ああ、ごめんよー。わざわざ僕のために…。

更に、僕が先に出る時は嫁がいつもが窓から見送りしてくれるのに
僕はというと二度寝を決め込んでるし、

野暮ったいとか言ってごめんよー。


お詫びに…

夕食食べ終わった後お皿洗います。
(それだけかよ)

2003-03-21(Fri)

ぱんぷる妊婦るぱむぽっぷん。

「ねえ…アナター」

嫁がモジモジしながらやってきた。
嫁はよくこういうもったいぶったオネダリをする。

とりあえず無視。

「アナター」

鼻糞をほじって気付かないふり。

「ねえダーリイイイイン」

「なんだよっ!なんですかっ!」

袖を引っ張るので根負けして返事をしてしまった。

「今夜は一緒に寝て」

…子供か。

僕は、またラブラブモードが始まったよこの人ぁ…と呆れたが
違った。

「だって、明日は産婦人科の定期健診なんだもん…」

嫁は表情を不安で曇らせた。
ああ、そうか、そうだった。

今、嫁は妊娠しているが、その前に去年も1度身ごもった。
しかし、2ケ月程度で流産してしまったため、その時の
恐怖がずっと残っている。僕にも残っている。

更に、健診ではその都度陰部をいじられるので
男の僕には実感できないが、それも辛いのだろう。

…僕以外触ったことないのに。
そう考えるとちょっとムカついてきたので

「わかった。一緒に寝よう」

と、嫁に返事した。

それからモソモソと一緒に布団に入った後、

「これは僕の~これは僕の~」

僕は心の中でそう念じながら嫁の体を撫で回して
おいたのだった。

でも、あまり刺激すると逆に検査の結果が
悪くなったりして。
あああああ僕はどうすれば。

…こういうのもマタニティーブルーって言うのかね。

2003-03-22(Sat)

春の予感。恋の股間。

産婦人科の定期健診の日。
嫁は今にも処刑されるようなドヨーンとした
顔色だったが、僕は仕事なので出かけざるを得なかった。

おなかの中のRちゃん(仮名)はちゃんと育っているか、
僕も仕事をしながらも不安だったが昼過ぎに嫁から

嫁メルー

という、打ち込むのに一体何分かかったんだおめーは、と
と考えさせられる携帯メールが届いたので一安心した。


「今、16センチぐらいなんだって」

家に帰ると、すっかり顔色が良くなった嫁が報告した。

僕は思った。

僕の「息子」の大きさをとうに越しているのだ、と。

嫁は言った。

「アナタの『息子』より全然大きいよね」

嫌な以心伝心。

ともかく、僕の「息子」よりもずっと大きくなっている
ということは嬉しくもあり、なんだか悲しくもあった。

元はそこから出て来たくせに(半分だけ)

嫁は産婦人科で心音も聞いたというので
僕も嫁のおなかに手をあててみた。

しかし特に鼓動を感じることはできなかった。
ふふふ。Rちゃんもまだまだのようだ。

僕の「息子」はビクビク鼓動しちゃうので
まだまだこちらの勝ちだ!

なんてことを考える自分は鼓動不審。

じゃなくて挙動不審。

2003-03-23(Sun)

奥様の3分ハッキング。

嫁がまた僕のパソコンの中身を覗いたらしい。
メールボックスを覗いたらしい。

その結果、

実家に帰ってしまった。

どういうリアクションなんだよコレ!

「このメール見てショック受けたのでは」
という思い当たる節はあることはあるのだが、

勝手に覗いて、断片的な情報で勝手に推測して
勝手にパニクって…ホントにもう勝手にしやがれ。

何故にいちいち嫁に説明しなければならないのか。
面倒くさい。

実家に帰ったらもうそれはそれでい。
7億年ぐらい戻ってくるな。

それにしても、どうやって覗いたのだろう?
僕のパソコンを動かすにはパスワードが必要である。

それをどうやって破ったのか。
嫁は実はものすごいハッカーだったとか…。

ひょっとしたら僕はとんでもない人間を嫁にしていたのかもしれない。

「奥様は魔女」、じゃなくてハッカー。

なんだかもの凄く嫌だ。

2003-03-24(Mon)

夫婦喧嘩はいつも深夜に。

嫁にメールボックスの中を覗かれ、
嫁が実家に帰ってしまってからしばらく、

「あの女とまだやりとりが続いていたのね」

という嫁のメモ書きを見つけた。

ある女性とのメールのやりとりがあったことが
たいそうショックで、それで実家に帰ってしまったらしい。

その人は嫁が勝手にしつこくマークしている人物であるが
僕は単なる日常的なやりとりしかしていないわけで…。

そんなモテる訳がない。

勝手に覗いて、断片的な情報だけで勝手に妄想して、
本当に嫁の一人相撲であることよ。

そう考えつつイライラしていたが
翌日の昼を過ぎても嫁は帰って来ず、
苛立ちは頂点に達した。

まさか本当に7億年ぐらい帰らない気なんじゃないだろうか。

上等である。
嫁が家を飛び出すなら僕だって飛び出してやる。
誰が待っててやるかコノヤロー。

そう勢いだけで飛び出した先は…

僕のお気に入りの友達、美少女Rちゃんがいる喫茶店。

紅茶のおいしい喫茶店♪、なのです!
ハローグッバイなのです!
かっしわばらよしえです!

コーヒーしか飲んだことないけど。

で、

「あれ、嫁ちゃんはどうしたの?」

僕の顔を見るなりRちゃんはそう尋ねた。

「いや、法事だか葬式だかで実家に帰ってるよ…」

咄嗟に嘘を返した。罪のない嫁の親族を殺してしまった。

嫁だけが出席して旦那はサ店でコーヒー啜ってていいなんて
どんな法事なんだか…。

そう考えていたらRちゃんと喋っていても顔は苦笑いになり、
啜ったコーヒーもいつもより3倍ぐらい苦かった。

Rちゃんはメイドのような可愛い制服に身を包んでいた。
Rちゃん自身はそれよりももっと可愛かった。

その分自分の情けなさがひしひしと身に染みて来たので
早々と喫茶店を後にした。

家に帰ると、嫁は戻っていた。

「ただいま」

「おかえり」

その後、沈黙。

この沈黙がいづれ破られて、
コーヒーより苦くて熱い
ドンパチの夜が始まるのだ。

たぶん。あと10分後ぐらいに。

みなさんおやすみなさい。

2003-03-25(Tue)

世界の戦争、我が家のドンパチ。

僕のパソコンのメールボックスの内容をめぐり嫁とケンカ。

「あの女の子へのメール、何なのよ!」

「別に普通のやりとりだろうが!
 それに、いい加減覗きグセやめろよ!」

「このドエロ!」

「このデバカメ!」

「ロリコン!」

「田代まさし!」

犬も食わない不毛な争いがしばらく続いていたが
嫁がおなかの痛みを訴えだした。

「この子…怒ってる…ゴメンネ、ゴメンネ」

嫁はおなかをさすりながら、その中の子供に謝りだした。
僕には分からないが嫁には子供の感情が伝わってくるらしい。

おそらく母体にストレスが溜まると子供も苦しいのでは
ないのだろうか。

僕もすまない気持ちになってケンカも中断し、
一緒に嫁のおなかをさすった。

お互いがメンツと意地ばかりを通そうとして争うと
罪もない誰かを傷つけてしまう。

今やってる戦争もそうなんじゃないだろうか。

10分ぐらいすると、痛みは落ち着いてきたようで
荒い息も元に戻り始めた。

僕は添い寝して様子を見ていたが、疲れていたのか
そのまま翌朝まで寝てしまった。

争いは当事者自身も疲労する。

今やってる戦争もそうなんじゃないだろうか。
また思った。

もう1度子供が流産してしまうようなことがあれば、
そして嫁の体が傷つくようなことがあれば、
嫁も僕も生きていけないだろう。

あああ嫁よ子供よ、お父ちゃんが悪うございました。

そして今の戦争でもどこかの誰かが大切な人を失い
悲しみに暮れる筈。

せめて祈りましょう。

世界人類が平和でありますように。

2003-03-26(Wed)

夫婦間戦争も情報戦。

嫁とはなし崩し的に仲直りしたものの、謎がひとつ残っていた。

今回のケンカとなった原因は、
僕のパソコンの中のメールの内容である。

僕のパソコンは、起動する時にパスワードを入力しなければならない。
メールボックスを開く時もパスワード。

そして、開いている時でも何もしないと5分でスクリーンセーバーが起動し、
それを解除するにもパスワードを必要とする。

その厳重体制を嫁はどうやって突破し侵入したか。
それが疑問なのだ。
嫁は知らぬ間にもの凄いハッキング術を身につけているのでは?
ちらっと嫁を観察してみる。

ぶぶぶぶぶ…。

花粉症にやられ、しょっちゅう豪快な音を立てて鼻をかむ。
鼻の周りが真っ赤で哀れな姿だ。

でも、ひょっとしたら嫁はスーパーハッカー。

この情けない姿も僕を油断させる手段なのかもしれない。

時間を置いてもう一度嫁を見てみる。

あ”あ”あ”あ”…。

花粉症に加え、風邪をひいて喉までやられてしまい、
カラスの断末魔みたいな唸り声をあげている。
百年の恋も冷めてしまいそうな惨めな姿だ。

それでも、ひょっとしたら嫁はスーパーハッカー。

脂汗が流れてきた。

このままでは全てが疑心暗鬼になってしまう。
僕は決心して思い切って嫁を問いただした。

「どうやってパソコンの中を見たのか言え」

嫁は少し沈黙を置き、白状した

「…アナタがお風呂入る隙に、見た…」

要はこうだ。

僕はその時パソコンを開いていて、メールボックスも開いていた。
そのうち風呂に入ろうと思ってそのまま席を外した。

何もいじらなければ5分でスクリーンセーバーが動き出すが、
動き出す前の数分間の無防備状態を嫁は見逃さず、さっと見たのだ。

…嫁は甲賀忍者か何かか。

どうせ覗くなら風呂場のほうを覗くべきなんである。
だいたい夫が風呂に入っているのである。

ドアから顔をちょっとだけ出して

「アナタ…ワタシも一緒に入っていい?キャハ☆」

新婚夫婦ならそうすべきだろう。

それなのに…。

生き馬の目を抜くごとく
殺伐とした夫婦生活に明日はあるのだろうか。

2003-03-27(Thu)

男と男とフィアンセとロリイタ。

日曜日の話になるが、柿崎君と飲む話になった。
去年飲んだ時は大勢で飲んだが今回はどうやらサシになりそうであった。

ウチの嫁も連れて行こうとしたのだが花粉症と風邪が重なりダウンしていたのである。

「うーん、嫁もロリもナシですかー」

と、柿崎君。

ロリ、というのは前回一緒に飲んだななこのことで
その時はロリイタ服に身を包み、
攫っていきたいほど可愛かったのであった。
僕も柿崎君もロリ好きである。

「じゃあ、ウチの嫁連れてきましょうか」

と、柿崎君。
ええええええ?

い、いつの間に…結婚相手が…。(正確には婚約者)

結局僕がななこも呼んで四人で飲み。
連れてこられた柿崎君のお嫁さんは
背の高いきれいな人であった。

「ロリ妹募集」とか言ってるくせに…。

ななこはゴスロリに身を包み相変わらずのロリイタっぷり。
このまま裏通りへ連れて行きたい衝動に駆られたが自粛。
同じくロリイタ好きの柿崎君。
さすがにフィアンセの前では大人しかった。

居酒屋のメニューを見ながら誰かが言った。

「コレ面白そうだから頼んでみましょう」

と、注文したのは

「ロシアンルーレットたこ焼き」

7個のたこ焼きのうち、ひとつだけがもの凄く辛い。
みんなでドキドキしながら選び、見事当たってしまったヤツは悶絶し、
それを残った人間でギャハハと笑おう、
というシロモノ。

やがてたこ焼きが運ばれてきた。
柿崎君フィアンセが速攻で迷うことなく口に放り込んだ。

「うん、多分コレですよ。なんか辛いですし…
 あ、私、辛いの全然平気なんですモグモグ」

いや、そう淡々と食べられても困るんですが…。

しかし、並んで座って話している柿崎君とフィアンセ。
僕はお似合いだと思った。眩しかった。

「いいよねー」

僕は隣のななこに言った。

「うん、いいよね」

ななこもそう言った。

「kajilinの嫁ちゃんもかわいいけどさあ、
 柿崎君のお嫁さんもすっごくイイ…ぐへへ」

獲物を狙う目をしていたので
多分僕と違う意味で言っていたのだろう。

何故人の嫁に興奮するのか。
マダムキラーを目論む謎のロリータ…。

しかし、フィアンセ。いい響きである。

フィアンセー。
僕にもクダシャンセー。

2003-03-28(Fri)

実録。嫁姑&夫。

残尿、じゃなくって残業中に携帯が鳴った。
この微妙な時間帯にかかって来るのは、

僕のお気に入り、Rちゃーん!…かと思ったが違った。

麗わしの美少女ではなく
垂乳根の母であった。がっくり。

「元気け?」

栃木弁丸出しの母。

「あー、まあ」

「さっき嫁さんに電話しちったんだよ」

僕は不安になった。嫁はウチの母が苦手だ。
ぶっきらぼうで無愛想な栃木弁が悪いのかもしれないが

「こないだサチちゃんがロイ白川のコンサートに行ってね」

「母さん、サチって誰よ?ロイ白川って何者よ!」

というような、おばさんにありがちな唐突で独りよがり、
しかもどうでもいいつまらない話や

「何が?誰が?どこで?何で?」

すぐ何にでも首を突っ込んで話の腰を折る鬱陶しさは僕も感じることがある。
肉親の僕でさえそうなので赤の他人の嫁は言わずもがな。

加えて妊娠中の嫁は過敏になっている。

前回流産してしまった時も母は母なりに慰めの言葉をかけたのだが、
その奥にある初孫への「強い期待」が見えてしまって辛かったと、
嫁は言っていた。

再びおなかに子供が宿ったわけだけれども、
母が子供について話せば話すほどやはり「強い期待」が見え隠れして
「またダメだったらどうしよう」とプレッシャーになってしまうようだ。

悪気がないだけに気の毒だが僕は母に言うことにした。

「あんまりプレッシャー与えたり変なこと言わないでくれよ」

「なんも変なこと言ってねーべ!やんだはー、失礼じゃねんけえ!
 『頑張って』って声かけただけだべ!」

母は怒ってしまった。まあ、そりゃそうだと思った。

母は悪くない。
でも分かってない。

家に帰ると、案の定嫁が泣きついてきた。

「お母さんから電話があって、『期待してる』って言われたああ!
 超プレッシャーーーー!」

母、言ってるじゃん…。
しかし嫁は嫁で元々メンタル面が脆いんだよな…。

嫁は弱すぎ。
母は分からなすぎ。

全く、女同士なのに何で解かり合えないのよ!

夫は何故か、おすぎ。

2003-03-29(Sat)

JASRAC未承認CHIKURANAIDE4649号。

キン エン シテテモ スイタイヨー スイタイヨー♪

別に禁煙はしていないのだけど
何故か知らんが口ずさんでしまい
すぐそばにいた嫁の前で恥ずかしくなった。

カラオケ嫌いもあって嫁の前で歌うことは滅多になくて
今まで気付かなかったけれど、
嫁の前では決して歌ってはいけない歌が
いくつもあることに気付いた。

例えば


「嫁に~来ないか~♪」


なんて歌ったら

「アタシと別れるの?」

と言われるだろうし


「困っちゃうな~デートに誘われて~♪」


などと歌えば

「断れ」

と、突っ込まれるだろうし。


「慌てないでっ、およっめっサンバ♪」


ひろみ郷になっても

「妊婦に踊らせる気?」

常識を疑われるし


「あんなこといいな、できたらいいな♪」


ドラえもんの歌を歌っても

「あんな娘とデキたいいいいい???」

ぶち切れられるだろうし


「3年目~の浮気ぐらい多めに見ろよ~♪」


開き直った気に食わない態度で歌っても

「3年目どころか5年目、浮気どころか
 本気でベタ惚れの相手がいるでしょうー!」

僕が愛してやまない友達、美少女Rちゃんのことを指摘され
両手を付いて謝ったって許してもらえないだろう。

だったらベタベタなラブソングだけを選び
愛を歌に乗せて伝えれば良いのかというと、
それはそれで

「後ろめたいことがあれば早く言いなさい」

と勘ぐられそうだし。

うーむ。

にっちもさっちもどーにもブルドッグ♪

はっ。

ものの見事に古い歌ばかりになってしまった。

2003-03-30(Sun)

夜の口説き文句。

嫁がダメである。

まだまだ続いているつわりに加え花粉症。
それに風邪。

妊娠中なので薬を飲むわけにもいかず
なかなか治らないまま鼻水と喉の痛みと咳が続いている。
熱は出ていないようだが。

布団の中ではいつも僕に背を向けて寝ている。
伝染さないようにしているのだろう。

そのため当然、長い間夜の営みができていない。

風邪ではないが体のごく一部に熱が出ている。
嫁も不憫であるが僕も困っているのだ。

今夜も嫁は頻繁にげほげほと咳をし、
ずるずる、ぶばー、と鼻をかみ、
あううううううう、と喉の痛みを訴えていた。

今日もダメダコリャ…そう思ったのだが
ダメモトで聞いてみることにした。

「嫁、契ろう」

「…だめ」

嫁は辛そうに首を横に振る。

「こういう時はまぐわったほうが良くなるんだぞ」

「ホントに?」

「テレビでも言ってるじゃん。
 咳、声、喉に、生ざあめん」

嫁は口を利いてくれなくなった。

バカ写真
INFO
ABOUT
  • ■サイトの変遷
  • '00年02月開設:リンクフリー。
  • 相互リンク受付けてません。
  • 無断転載不可。
  • ■作者
  • 名前:梶林
  • 家族:嫁と娘と息子
  • 住所:東京都
  • 好物:テクノ/美少女
  • バナー
最新コメント
メッセージはこちらから
リンク
ブログ内検索
あわせて読みたい
  • あわせて読みたい
カテゴリ
日記
FEED

Powered by FC2 Blog